第9回 特別編 SAN ONOFRE〜カリフォルニア・ログサーフィンの聖地
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日本人にとって、カリフォルニアでのサーフィンといって多くが思い浮かべるのは、USオープンが開催されるハンティントンビーチやトレッソルズなどだろうか。ロングボーダーならマリブに一度は行ってみたいという人が多いだろう。
ではビーチドデイズでもお馴染みのサンオノフレはどうだろう? 決して一般的にはメジャーではないかもしれないが、CAのロガー達にとってはなくてはならないブレイク。今回の特別編は、カリフォルニア・ログサーフィンの聖地、"SANO"にスポットを当ててみた。
サンオノフレ、通称SANO(サノー)、ローカル的に言うと『サノーフリィ』は、オレンジカウンティの下、サンディエゴの北端に位置するロングボーダーに愛されるユル波のブレイクで有名なサーフスポット。カリフォルニアのワイキキとも称されるサノーだが、カリフォルニア・ログサーフィンの聖地であるのは、何故なのか。すぐ隣に位置するトレッソルズが若いショートボーダー達がガンガン波に乗り、コンペさながらの熾烈なピリピリした雰囲気であるのに対し、サノーは自由で明るく、老若男女を問わず誰もが思い思いにビーチでの時間を楽しんでいる。ここではサーフィンだけしてすぐ帰ってしまうのはもったいない。一ラウンドを終えたら、クーラーバッグに持参した飲み物や軽食などをつまみ、ビーチで一日ゆっくり過ごすのが正解だ。
日本からだと、カリフォルニアの玄関口、LAX(ロサンゼルス国際空港)から405と5フリーウェイで車を南に向かって走らせること約1時間半。もちろん朝や夕方のラッシュアワーの時間帯はずらして移動することをお忘れなく。
通年サーフィン可能なサノーだが、ベストシーズンは南半球からのスウェルが届き、コンスタントに波のサイズがある夏だろう。ボトムは平たいリーフで、多少風が入っても比較的面がきれいな状態でサーフィンが楽しめる。そして基本的には潮の満ち引きに関係なくどのタイドでもサーフィン可能だが、ロータイド時には手前のゴロゴロの玉石で足をやられように注意が必要だろう。
カリフォルニアは寒流が流れているので、日本人にとってはトランクス一枚では震えてしまうくらい水温が冷たいので、基本的には一年を通してフルスーツは手放せないし、どんなに温かくてもスプリング、タッパは必須となる。
現在は、デイユース(1日入場)に15ドル払うか、もしくは年間で195ドルを払えば、カリフォルニアのステートパークス共通で使えるパス(California Explorer Annual Pass)が手に入れられる。州内に280あるステートパークの一つなので、トイレやシャワー、ゴミ箱、たき火スポットやイスとテーブルも完備している。泊まりのキャンプは禁止されているが、サーフィンしながら仲間内でピクニック、デイキャンプをするには最高な環境が整っている。
(Captain Mitch Abshere)
今からおよそ100年ほど前にトレッソルズ、サンオノフレのブレイクが発見され、サーフィンの歴史が始まったというが、その後はミリタリーの管轄下となり、ニクソン元大統領がトレッソルズのコットンズの目の前に住居を構え、ロナルド・レーガン元大統領がカリフォルニア州知事時代にステートパークとしての利用を許可してから約50年の歴史が過ぎている。
ブレイクは大きく分けて3つで、パーキングの入り口からザ・ポイント、オールドマンズ、ドッグパッチとなる。近年はザ・ポイントとオールドマンズの間の、フォードアーズ前にホットでイキのいいロガーが集結している。テネシーに移住したミッチ・アブシャーがカリフォルニアに戻れば姿を現すのはもちろん、ローカルのJJ・ウェッセルズ、タイラーウォ−レン、コーリー・コラピントに加え、アレックス・ノスト、CJネルソンといった個性豊かなスター達がビーチでハングアウトし、目の前でとびきりのスーパーライディングを披露しているのもここではごく日常の風景。サノーは世界的なサーフスポットにもかかわらずシェアライドの精神が宿り、古き良きカリフォルニアのサーフカルチャーが今も変わらず育まれている。
(JJ Wessels)
今回はサンオノフレでその独特のスタイルを磨き上げたともいえる、JJ・ウェッセルズに話しを聞いてみた。人々は昔からなぜこの場所に惹きつけられるのだろう?
「波はファンだし、車もブレイクの目の前に止められる。近年は波の影響でビーチの砂がだいぶなくなってきているけど、何十年にも渡って変わらないカリフォルニアの原風景がそのまま残っている。飲み物やスナックを持ってくれば、休憩しながら一日中ビーチでゆっくり過ごせ、子供や家族で過ごすにも安心できる場所だね。ここに来るといろんな人がいて、夏の間はいつも何か面白いことが起こっているよ。
サーフィンがオリンピック・スポーツになっても、また将来的にロングボードがそこに加わることになっても、サノーが一般開放される限り、この古き良きカリフォルニアの風景は変わらないはず。ビーチドデイズのコンセプトは、"Having fun & What you enjoy. Life is short… enjoy it. Get to beach."ということで次回サノーに行く際は、ビーチドデイズのお役立ちグッズを持って、カリフォルニアの空気感を楽しんで下さい!
Photos: JJ Wessels